SUMMER SONIC ０５ ～ＪＪ編～

久々に始めたバイト、夏フェス２大巨頭のサマーソニック２００５に日雇いプロレタリアートとして潜入してきた。サマーソニックは富士ロックに並ぶ、洋楽好きにはヨダレが出るほどファンタスティカルなイベントで、今まで行きたくて行きたくて行けなくて涙を飲んで来たイベント。今年はすっかり忘れていたけど、募集が来た瞬間にハードなスケジュールにも関わらず飛びついてしまった。NINE INCH NAILS、OASIS、SLIPKNOT、アジカン、TOMMY GUERRERO、などなどすごい連中ばっか来る。運がよければ見れるんじゃないかと思った。本番は海浜幕張の駅に朝６時半集合という条件がハードさに拍車をかける。終了時刻は２２時半で残業ありという条件で家に帰れない。

１１日金曜日１０時、海浜幕張駅に集合。日雇いの力仕事だからか、ガラが悪い連中が多い。誰もが会話することなく現場の幕張メッセへ。幕張メッセには初めて行ったけど、思ったよりずいぶんでかい！俺はＵＲＢＡＮ／ＲＯＣＫステージの現場に配置。特に難しいことなんてないし、重い機材にはほぼキャスターが付いてるから何も問題はなかった。キャスターも何もなく、ステージのくそ重い板や、モンスタースピーカーを担いで階段を４階まで持っていかなきゃならんミスコンの準備よりも遥かに楽チン！



だけど、そんな時にくせものが現れた。ＰＡだかなんだかの職人だ。付き人につかされ、彼の仕事の補佐をマンマークすることになったんだけど、この男、自分の常識が世界に通用すると見事に勘違いしていた。専門用語を連発し、知らないから教えてくれと言うと、物凄い勢いでバカにしてくれます。



「あっちにあるモンキー持って来い」
これはなんとか分かった。モンキーレンチのことだ。この辺は確かに常識なのかもしれない。俺はたまたまそんなタイトルの曲を良く聞いていたから分かっただけだけど…


「テスター持って来い」
テスター?それはなんです？
「テスターも知らねーの？！お前バカじゃねーの？今の若い奴らはテスターも知らねーのか。そんなの家に転がってるもんだろ」
転がってない。電極に端子を当てて電圧だか電力だかを測る装置なんて家に転がってない。お前の家は何屋だ。

「じゃあ、お前家の電源の電圧何アンペアか分かる？分からねーの？終わってるわお前。」
知るかー！そんなこと知ってようが知らなかろうが俺の人生に何のデメリットも生まれないことくらい分かってくれよ。

そういうくだらんことを言われ続け、とりあえずやること全ては否定され、数時間拘束された。本当に世界の狭い奴。一生井の中の蛙でいればいいさ。ジャイアニズムは現実には通用しないのだよ。



そんなこともありつつ作業は進む。あのバカの性格には辟易したけど、やっぱり職人は職人、やってることはすごい。なんに使うんだか全く分からない数百から数千本はあろうかというコード類を見る間に接続していった。ステージ上に配置されたＰＡ機材に繋がったコードはそれはもうぐちゃんぐちゃんで、人が埋まっていても分からないくらいの量が、どうやら正確に繋がっているらしい。すごい。カラオケ機材とミキサーとアンプとスピーカーを繋ぐのに頭を悩ませたことがあるけど、職人の手にかかれば５分とかからないかもしれない。



夜になると、アーティスト専用機材が搬入されてきた。俺でも知ってるベテランアーティストの機材とか運んでちょっとドキドキした。明後日は本番、末端スタッフの俺もちょっとテンション上がってくる。ステージでは音のテストが行われ、アップテンポの音楽が爆音でかかる。



２１時過ぎに解散。交通費を浮かすためにそのまま富浦へ。いいもん見れた！けど溜まった疲れを、ジジババが癒してくれるはずもなかった…